さよならレバ刺し、ありがとうレバ刺し

2012年7月からレバ刺しの提供が全面禁止になる。
今日は、禁止前の駆け込みで近所の焼き肉店に行き、人生最後になるかも知れないレバ刺しを食べた。
例の食中毒事件以来、それまでレバ刺しを出していた店でも取り扱いがなくなり、思えば久しぶりに口にした。
食べる前に「確かこんな味だよなー」なんて思い出していたが、それを上回るうまさで嬉しくなった。

レバ刺しとの出会いは、第二の故郷「新橋」のガード下周辺だと思う。新橋は新卒で入社した会社がある街だ。
当時大変お世話になっていた先輩とよく飲みにいったが、そのときに初めて食べた。
焼いたレバーのパサパサ感からは想像もつかない舌触り、甘み、とろみ。
こんなうまいものがあったのか!と感激し、そのうち一人一皿ずつオーダーすることが定番となるほどだった。
「自宅では食べられない一品」の代表格でもあった。

一つの事件をきっかけに世の中はどんどん不便に、さみしいものになる。
たった0.01%のミスや悪意の再発防止のために、残り99.99%を非効率で味気ないものにしてしまう。
そこに新たなチャンスが生まれる事もあるが、大半の人にとってはマイナスの影響の方が大きいはずだ。
守りに偏り過ぎることが、知らず知らず別のリスクにつながっている。
どっかの組織のようだ。

社会人になると同時に出会ったレバ刺しは、自分に取って大人の仲間入りをしたあの頃を思い出す食べ物だ。
レバ刺しを口にする時間は、社会人としての初心に返る時間だったのかもしれない。
将来、禁止以外の免許制等の手段を始めることで、また流通してくれることを祈りたい。

しばらく食べられなくなる事実は受け入れるしかないから、これまでたくさん楽しませてくれたレバ刺しに
ありがとうを言って、しばしのお別れとしたい。